「とんこつ食堂」@天王寺 とんこつラーメン 2005.11.01實食

http://d.hatena.ne.jp/menmenmen/20051101

ここ最近の 博多ラーメンの凋落ぶりは目を覆うばかりだ 。2001年5月、箱崎から博多に移轉した「だるま」は全くダシの取れてゐない、ただの イヒ 言周 月旨 シ十 に落ちぶれてゐたのに續き、2003年11月、今度は親の後を追ふが如く「秀ちやんラーメン」までが 譯の分からない 無添加、無化調をを謳ふ樣になつてしまつた。
無化調なればそれに代はる味を補はなければならないのに全くそれが出來てゐない爲、スープはグルタミン酸不足を強く感ぢらせ、その上肝腎の豚骨ダシの方も以前の様なゲル狀ではなく、シヤプシヤプ系にただただ脂が多いだけの 「とんこつもどき」 に成り果ててしまつてゐたのには心底がつかりさせられた。
しかし!!逆に大阪では最近、以前の慘狀がウソの樣にかなりレヴヱルの高い豚骨を食べることが出來る樣になつて來たのだ。
先づは「天神旗」@上新庄*1 *2。「無鉄砲」が來るまでは、少なくとも私が今迄に食べた中では大阪府下No.1であつた。「博多とんこつ」と名乘つてはゐるが、博多でもこの系統の濃厚さを持つラーメンには出會つた記憶が無い。
そして言はづもがな、の「無鉄砲」@大国町*3。私の豚骨に對する理想を其の儘具現化した樣なウルトラ濃厚スープは、未だ衰へる亊を知らない。
新店では「南州屋」@吹田*4 *5。ラーメン全體の出來としてはまだまだではあるが、ひたすら眞面目に取られた豚骨スープには將來の名店となる可能性を祕めてゐる。また「一大」@千日前*6は「熊本ラーメン」の解釋の違ひと時間によつて異なるスープ濃度が氣にはなるものの、なかなかまとまりの良い一品である。
あと私は未訪だが「豚一」@中崎町*7の評判もいい樣であるし、レギユラーメニウではないけれども「麺哲」の TKO などといふものもあり、「ごん太」が一時の輝きを失つた*8とはいへ大阪の豚骨シーンは嘗て無い程の充實ぶりを見せ始めてゐる。
ここに來て、某巨大掲示板内で話題になつてゐる新店がここ「とんこつ食堂」である。ただ、まだ味が安定してゐないのか、既訪の方のレポートを讀んでも微妙に違ひがあり、今ひとつはつきりとしたイメイヂが湧いて來ない。夲來なればある程度の味の安定を待つてから試しに行くのが常なのだが、まあダシが濃厚であることに間違ひは無ささうなので、些か時期尚早ながら豚骨につひては一家言お持ちの波平氏とともに訪れてみた。
注文時、先づは麵のかたさを訊かれる。初訪なので「ふつう」にしやうかと思つたが、麵に對する店主の考へを知る意味もあり「店主が一番美味いと思ふかたさはどれ?」と逆に問うたら 「バリかた」 とのことであつたので、それを試してみる亊に。あと一日30個限定の「半熟とろ〜り味付玉子」を勸められたが、豚骨ラーメンとの相性を考慮して斷つた。
ラーメン登場。素つ氣ない、眞つ白な丼は、話には聞いていたがかなり小さい。此なら消化能力の落ちた現在の私でも二杯くらい食べられるのではなひか?と錯覺させるほどの小ささだ。
スープの色はわづかに肌色がかつてゐるものの、ほぼ乳白色と言つていいだらう。その性状は思つたよりも粘度が無くてさらりとしてゐる爲、波平氏は「シヤバい」と書かれたのだらうが、ひと口口に含むとその印象がガラリと變わる。ゲル状にこそなつてはゐないものの、十二分量のコラーゲンの存在が感ぢらるるのだ。店内には 「スープは丸々一匹煮込んでしまいました。そしたらコラーゲンのかたまりスープになってしまいました〜〜」下手糞な手書きの貼り紙 がしてあるが、まさにその通りなのである。そして、そのスープは私が初めて訪れた、美味しかつた頃の「秀ちゃんラーメン」@警固によく似てゐる。
多分、此のスープに脂を多目に加へればもつとゲル化は進むのと思ふのだが、深い考へがあつてそこまでせづに止めてゐるのか、はたまた單なる偶然なのかは分からない。波平氏はげんこつをメインに豚頭も少し使っているとの推測であつたが、某所よりの情報によるとそれに背骨、アバラ、肉を追ひ足して煮込んであるのださうだ。
タレはやや物足りない感ぢはするものの、グルタミン酸成分の配分に關しては多過ぎて後味に影響を及ぼすことなく、かと言つて少な過ぎて困るほどでもなく、そこそこいい塩梅である。豚骨の味の感ぢられ方から食べてゐる時は塩ダレだと思つてゐたのだが、塩のカドが全く立つてゐないところを見ると波平氏の言はるる通り薄口醤油を使つたタレなのかも知れなひ。・・・あ、もしかするとチヤーシウの煮汁を使つてるのかも?
麵は 「自慢の極細麺は博多の製麺所に特注で作って頂き空輸したものです。麺の『コシ』をご賞味下さい。」 とのことだ。かたさは店主オススメの「バリかた」で丁度シコシコとした齒應へが感ぢらるる位なので、波平氏の「かため」だと少々ヤワく感ぢられてしまふかも知れない。
チヤーシウはバラ肉だと聞いてゐたのでこつてりスープに合はせるとクドくなり過ぎはしなひかと心配してゐたのだが、特に脂アブラした感ぢは無く、美味しく頂けた。葱は此のスープなればアサツキの樣な細かいめのものの方が合ふとは思ふが、そこまで贅澤は言へない。
しかし!!此処のラーメンのトツピングで最大の失態は、 キクラゲが入つてゐないこと だつっつつつっっっつつ!!!!!
(#-_-)ノ┻┻ ┫:・'.::・┻┻:・'.::・
わざわざ麵を博多から空輸するほどのこだわりを持ちながら、キクラゲを拔くなどとは何たる 愚擧の極み!! 即刻、改善さるることを強く希望する。
・・・とまあ、まだまだ完成の域には逹してゐないものの、初訪時の「南州屋」に較べるとはるかにまとまりの良いラーメンである。現在はダシに引つ張られてゐるだけの感ぢは否めないが、夲場博多の店が忘れてしまつた「心」を持つてゐるので夲日のダシのレヴヱルを維持した上で細部を少しずつブラツシユアツプしてゆけば、大阪が誇れるラーメンのひとつとなり得るであらう。
P.S.
ハシダ・メン氏が試されてゐた「醤油とんこつ」をひと口頂いたのだが、レンゲにひと口だけでもかなり甘つたるくてバランスは最惡。こちらのスープは到底丼一杯を飮み干せさうもない。
まだまだただ單に「作つてみました」の域を出ない、 出來の惡い試作品 にしか過ぎないので余程好奇心の強い人か、もしくは播州生まれで 甘つたるいラーメソに強力な免疫のある人 以外には到底オススメ出來ないシロモノだ。店の評判を落とすだけになるだらうから、ちやんとしたものが完成するまではメニウから落としておいた方が賢明であらう。
あと、半熟の味付玉子はその食感及び味の濃厚さ故にキヤラがバツテイングする爲、 甘豚骨スープとの相性はあまり良くはない 。昨今の流行りであるから店に置くな、とまでは言わないが、さういふ品を積極的に客に勸める樣では 味に對するセンスを疑われても仕方がない ので十分に注意した方が良いだらう。

月 旧一的評價;★★★ +αつ!!