「ラーメン荘 夢を語れ」@一乗寺 小カラメヤサイニンニク 2006.10.25實食

「ラーメン荘 夢を語れ」がオープンして早や2週間。話題店といふこともあり、各所で記亊を見かける樣になつた。
勿論、「二郎」の系統である故、賛否兩論の意見が出ることは誰もが豫想してゐたであらう。しかし、「二郎」に對する「否」と「夢を語れ」に對する「否」は些か趣を異にしてゐる。前者はその信ぢられない樣なボリウムと油の量、ゴワゴワした太麪や化調としよつぱいタレが作り上げる、 有無を言わせぬ暴力的な迫力 に對する 拒否感 であるのに對し、後者はその迫力、或ひは「二郎」に對して抱いてゐた印象に比して 味が薄く、ダシが弱い ことに對する 失望感 である。
詳細につひては前囘*1触れた通りなので割愛するが、例へるなれば宮下あきら氏描く「魁!!男塾」の硬派で屈強な男逹が、學ランならぬブレザーにきちんとネクタイを締め、青いハンケチをしのばせつつフルーツパーラーでレモンスカツシユをストローでチウチウしてゐる樣なギヤツプに、 何とも言へない違和感 を感ぢてゐるのだ。
しかし、「ダシが弱い」譯ではない、といふ意見もある。よく引用させて戴いてゐるMIG氏は 「スープを底からしっかり混ぜると、程よい塩梅の豚肉ダシ(骨ではなく肉)のスープになる」*2 と書いてをられるし、京都のechoes氏は前囘の日記のコメントに 「スープ濃度は普通(元々濃厚スープが売りでないみたいですし)ながら旨味は十分」 と書かれてゐる。
「がんこ十八代」のスープにつひて 「『がんこ』のスープは、塩、香味油、純粋な旨味、つまり化調で構成されている。そしてそのインプレッションの強い塩辛さを許容させるのは、ダシの濃さではなく、香味油であり、さらには『がんこ』というブランドである。」*3 と評してをらるるMIG氏が「夢を語れ」のダシを 「程よい塩梅」 と言はるる亊は、些か腑に落ちないのではあるが、今囘は「一杯のラーメンとして」旨味を考へるのみではなく「スープ單體で」旨味があるかどうか、といふこと、及び「『カラメ』コールでこの味の薄さに對處出來るのか?」の2点にポイントを絞り、味の檢証をしてみることとした。



「小カラメヤサイニンニク」

カラメはスープを注ぐ前にあらかじめ言つておくのかと思ひきや、ニンニクの量を訊かれた時に一緒に言つてくれ、とのこと。ヤサイの上からかけて味をつけるんぢやあなくつて、スープに味をつけたいんだけどなあ。まあ「二郎」でもさうみたいだからそれは仕方あるまい。でも「二郎」には化學調味料「グルエース」を増量する「グル」なる呪文もある樣なのだが、その場合もスープに溶かす量を増やすのではなくてヤサイの上から振りかけるんだらうか?
スープをひと口。

「カラメ」なのに薄つ!!!!!

私が嘗て行つた「二郎」はデツフオールトでもかなりしよつぱく、目黒店などは「ヤサイスクナメ」にしただけでしよつぱさが中和し切れづに苦勞したのだが、ここは「カラメ」でこれかいつ?!・・・同行の波平氏は「思った程タレは薄くない*4」とのことであつたが・・・
そこで「もつとタレを!」と追加ちう悶したら小皿に入つて出て來たので、先づはタレ自體の味を見てみる。スープからはさほど醤油の香りは感ぢられなかつたのだが、意外や意外、波平氏も書いてをらるる通り、結構生醤油のの味が結構ストレートに出てゐる。よく「○二」は「甘い」と評されるので、嘗て「無鉄砲」のタレに使用されてゐたフンドーキン醤油の樣な甘さがタレにあるんぢやないかなあ、と思つてゐたのだが、殆ど甘味を感ぢなかつたことにも少々驚いた。あと、タレからはあからさまな化調成分は感ぢられなかつた。
先づは味を適當な狀態に調整する。アブラと麪とブタとヤサイ、そしてニンニクの迫力に負けない樣に、塩分濃度が「ちよいとしよつぱい」位に調整出來たと思つたら・・・


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ダシの弱つちよろさが がますます際立つてしまつた・・・
「一杯のラーメンとして」だけではなく、「スープ單體で」見ても 明らかに旨味不足 である。強いて言へば、このスープが チヤーハンの付け合わせとして供されたのならば 、何とか許容出來る範囲内かも知れない。しかし、それでも「旨味が十分」とは言ひ難い。
もしかすると、 神の如き繊細で敏感な舌の持ち主の方ならお分かりになる樣な 旨味がどこかに存在してゐるのかも知れない。しかし、少なくともそれは、このブタとヤサイと太麪と油の上屋を支へ切るだけの 力量は持ち合はせてゐない ことだけは確實だ。
「二郎」は兎に角三囘食べてみろ 、と言はれる。その三囘目の後二週間「二郎」無しで過ごすと 禁斷症状が起きる 、とのことだ。此は多分、齊藤滋久氏の

「二郎インタビユー」

で總帥・山田拓美氏が語つてをらるる

「面白いもんで、一回食って、二回食って、三回食ったらやめられないって言うもんな。」

の一節から來てゐるのではないかと思はれる。その言葉に從つて、「ラーメン荘 夢を語れ」にも取り敢へづ三囘通つてみた。三囘目からまだ5日しか經過してゐないのでこれから先のことはわからないが、

やつぱりタレが足りない
それ以上にやつぱりダシが貧弱

との結論に變はりはない。三度目の正直ならぬ、 二度あることは三度ある 、といふ結果であつた。
現状では「夢を語れ」はただ 單に量が多いだけ のラーメンに過ぎない。「二郎」の一番の魅力である、有無を言はせづ食べさせるだけの勢ひに欠けるので、少なくともこの味のままなれば、禁斷症状が出るとは到底、思へない。

さて、食してみて 「マズい」「味が足りない」 と言ふだけなら簡單である。今囘は、どこをどうやつたら良くなるのか、建設的な意見を出してみやうと思ふ。
前囘、「ダシを取れ」とは言つてみたものの、さすがに今の値段で今の量を確保しつつ、このラーメンの姿に見合ふダシを取ろうとしたら經營が成り立たないであらう。それならば、先づは現状のダシとタレで作るならばどういふラーメンが適當か、を考へやう。
何度も書いてゐる樣に、「夢を語れ」の問題点はアブラ、麪、ブタ、ヤサイ、ニンニクにダシとタレが追隨してゐないことなのだから、逆轉の發想で強すぎる部分を弱めてやると良いのではなからうか。
となると麪はもつと迫力の無いもの、つまり京都でよく見かける「福建」@西京極の如きフニヤツとしたヤワ麪か、或ひは鹹水の少ないにゆうめんの出來損ないみたひな麪が適當であらう。アブラもスープ表面に層が出來ることなんぞは論外、油の玉がすうつと浮くくらいにとどめねばなるまい。ブタは薄切りチヤーシウにして、味ももつと薄く仕上げ、ヤサイも味を薄めるキヤベツではなくシムプルにネギ、或ひはごく少量のモヤシだけにする。そして、それに味を支配されてはいけないのでニンニクは絶對に入れない。
これでこのダシとタレに合つたラーメンの出來上がりだ。ただ一点の問題は、京都に以前からあるラーメンに似て來てしまふのではないか、といふことだ。・・・といふか自分自身、別にそんなラーメンを今更新店で食べてみたいとは思はない。折角の關西初「二郎(「二郎」ぢやあないけど)」なのだから、ここはやはりそのD.N.A.を大亊にしてゆかねばなるまい。
では、どうすればダシに金をかけづに、この迫力を支へるだけのスープを作ることが出來るのであらうか?
前にも書いた通り 「ラーメン荘 夢を語れ」は「ラーメン二郎」ではないし、「○二(マルジ)」ですらない。從つて兩者は直接比較すべきものではないといふことは重々承知の上なのだが、この場合はやはりこの系統のラーメンとして私を滿足させてくれた「二郎」と何が違ふのかを敢へて較べてみるのが早道であらう。
「二郎」初訪時の感想は、「何だ?このアブラの量は?!」「うわ!味濃い!!しよつぱい!!」「すさまじい化調味!!」「麪ゴワゴワやん!!」「肉がスゴい!!」・・・である。 はつきり言つて、ダシはどうでも良かつた。 ・・・といふより、そこにダシが介在するのに、この味の濃厚さの中でダシの味を云々言つても、それは全く無意味な行爲でしか無かつたのだ。
他に食した目黒店、今は無き町田店、堀切二郎から獨立した「ぽっぽっ屋」にしても同ぢ、ダシにつひて言へるのは「このラーメンのダシとして過不足無い」といふことくらいだ。
つまり、一番大亊な部分は、

ダシの存在を考へる暇を与へなひだけのド迫力

なのである。
では、その 「ド迫力」 の爲には何が足りないのか?
それは、

イヒ 言周

に他ならない。
前囘、波平氏が指摘してをられた樣に、「夢を語れ」のスープは化調味(グルタミン酸味)が殆どしない。ラーヲタの中でもグルタミン酸過多に對しては敏感である波平氏にしてその意見であつたし、それにつひては私も同意見である。ここは一番、 化調をタプーリと入れる のが手つ取り早い。
「○二(マルジ)」で使用されてゐるのはグルタミン酸ナトリユームが主成分の「グルエース」であつたさうだが、 相乘効果 を期待して、ここは イノシン酸含有の「ハイミー」「いの一番」邊りが適當 かも知れない。

・・・ん?「調味料持込み可」なんだから自分で持ち込んで入れて食べろつて?

それはある程度味がしつかりしてたら、最終調整を自分でするのは厭はない。でも、 店側の不出來 をどうして客が尻拭ひしてまで食する必然性があらうか?それに、調味料は最初からスープに溶かすべきで、山盛りになつたヤサイの上からかけてもねえ・・・
あと別の場所での前出のechoes氏の書き込みで、 「濃厚にするには雑味を増やしていく必要を感じる」 といふものがあつた。
確かに、それがあると無いのでは雲泥の差が出るであらう。現状の「夢を語れ」にそれを求むるのは酷なのかも知れないが、前出の「二郎インタビユー」によると「ラーメン二郎」三田本店では殘つたスープを煮詰めて濾したものをベースに次の日のスープを作る、といふことださうだから、それと同ぢ方式を踏襲してゆけば、 いづれは濃厚になつてゆくかも知れない 。「二郎」でよく言はれる 「味が安定するまで何ケ月もかかる」 といふのは實はそのことなのかも・・・?

タレを濃くする
化調をタプーリブチ込む

この二点でジヤンキイさを極め、「勢ひ」と「迫力」で押しまくる、「漢(をとこ)」のラーメンを作つて頂こう!!・・・
別に私はダシ自體の味で勝負しろ、と言つてる譯ではない。アブラとタレと化調でジヤンキイに仕上げて、ダシはせめてそのおゲフインさの足を引つ張らない程度にさへ取れてればいいのだ。
直系、傍系、パチモン等々、「ラーメン二郎」の系統の店が林立してゐる東京なれば、迫力に欠けるキワモノでもそれなりのニーズがあるのかも知れない。しかし、關西ではその血を引く只一軒の店なれば、此の地に今迄存在しなかつた強烈なジヤンキイさで、その中毒者をどんどん増やしていつて頂きたいものである。


月 旧一的評價;
(※現在、タレを濃くしたりして味の改善を圖つてゐる、との噂を聞いたので、ひとつの減点にとどめておくことにする。)


※他のブログ等ではどの樣な評價をされてゐるのか、集めてみますた(2006年10月31日現在)。

禿 波平氏「麺面日記」10月25日實食
 思った程タレは薄くないやはりスープがなんぢゃらほい。目の前の寸胴には大量の巻きバラが放り込んであり白濁したスープを店長が混ぜ棒で混ぜておられるが、その割りに肉汁の旨みに乏しいし、スープの素材として使っているのかどうか分からないが豚骨自体の旨みというものを殆ど感じない。路線は違うが醤油を湯で割って化調を放り込んだだけと揶揄される高井田系のラーメンを連想してしまった。

・MIG氏「ラーメン日記+あるふぁ」10月20日實食*5
 スープは表層にかなりの油があり、そのまま飲むとかなりぼやけた味だが、スープを底からしっかり混ぜると、程よい塩梅の豚肉ダシ(骨ではなく肉)のスープになる。ただそれでもチャーシューの醤油からさと、スープの塩梅には少しギャップがあり、チャーシューと一緒に麺やスープをいただくか、次回からはかえし増しにするかが必要かもしれない。

アレク氏「アレクのラーメン日記」10月20日實食【スープの味に關する記載なし】

・としむね氏「としむねひとりごと。」10月25日の日記*6
 ただスープは脂分がかなり多くヘビーなのだが肝心のダシが弱く醤油たれも控えめなのでただ脂っこく、その為かたっぷり入った麺や野菜をがつがつ食わせてくれる力強さがなく、結果的にメリハリを感じない。例えは悪いが白ご飯のみ5杯ほど食べている様で胃袋は膨れていくが味覚では全く満足感を得られない感じ。ラーメンでは麺や野菜をおいしく食べさせてくれるのがスープの役割と思うのだがスープが弱い為に具や麺を食べきっても達成感だけで満足感を得られなかったのが気になる。

いっちゃん「ラーメソゾンビの麺日記(その他あり)」10月20日實食
 スープは意外とあっさりなんで少々拍子抜けって感じが否めませんな。

秀太氏「秀太の日記(ラーメン放浪記)」10月22日實食【スープの味に關する記載なし】

・たけ 氏「食メモ。 φ(..)メモメモ 〜関西のラーメンなど〜」*7【スープの味に關する記載なし】

・overeatlife 氏「本日のラーメン from 京都」
10月21日實食*8
 味のほうは、強烈な脂の風味に、濃厚な醤油味
10月23日實食*9
 今日は味わう余裕もあり、スープが意外と甘めなのに気づいた。
10月27日實食*10【スープの味に關する記載なし】

まこぴ氏「廃人日記」10月20日實食
 スープはかなりライトというかホネとかブタじゃなくて野菜の旨味で喰わせる感じ。西新井時代もこんな感じのスープが多かったから、店主はこの味が好きなのかなぁ。個人的には北浦和みたいにもうちょっとブタが出て醤油濃いめのほうがイイと思う。

・horizon 氏「ポンポン山生活+スノーボード+天下一品」10月22日實食*11
 スープは醤油系なのだが、決して辛くはなく、背脂と混ざると甘い感じのスープだったデフォルトで辛いスープは困る。調整の余地がないからだ。この店はデフォルトでは万人向けに薄め(甘い目)で出しておいて、濃いのが欲しい人は後から自分でタレを追加してね、というシステムだ。僕は次回は醤油タレをドバドバ追加するつもり

・ほしの氏「A Map Of The World」10月22日實食*12
 さて、肝心の味ですが、ラーメン二郎」とほぼ同じでした。 -(中略)- さらに、化学調味料の量もかなりなもので、ラーメンの持つジャンキーさをここまで強調したラーメンは他ではなかなかお目にかかれませんね。

・赤影氏「赤影 〜ニート脱出への道〜」10月20日實食*13
 スープは関西圏なのにあわせてか、少々薄味でした。物足りなければ醤油を足してもらえるらしいです。また、調味料類がテーブルに置かれていないので、自分で好きなものを持ち込んでもかまわないと書いてありました。

ハシモトシンジ氏「白沙村人後録」10月25日の日記
 個人的にはとっても好きな味で、分厚くトロリンとした煮豚も、ブツンブツンと歯切れの良い平麺も、コクサッパリ系のスープもナイスバランスでした。

・つばさ氏「やっと定住。」10月20日實食*14
 個人的にはスープにもっと塩分&ニンニクを入れて欲しかった!
脂増しにして、僕にはちょうどいい(←一般的にはかなり脂っこいです)脂加減でした。
ただスープに対する印象が脂だけで・・・どうせならもっとガツンと。。

・中島保氏「中島保オフィシャルホームページ」10月20日實食*15【スープの味に關する記載なし】

・豆奴氏「豆奴ノ美味噺」
10月27日の日記*16
 ベースのスープは豚肉から取られた脂がメインで、丼の底に沈んでいる醤油とよく混ぜて食べると、それらが合わさって香ばしく柔らかな甘味があります♪ -(中略)- ベースのスープ・脂の量・醤油ダレ、これらのバランスが、基本の1杯にしてはチグハグな感じがしたけど、
10月29日の日記*17
 ベースの豚スープもニンニクと醤油ダレ増しによって風味が強化され、ひとつひとつの素材が個人プレーをすることなく、がっちりスクラムを組めた気がしました。 -(中略)- まだ2杯しか食べてませんが、私の好みとしては「野菜増し・にんにく有・醤油ダレ増し」は必須項目かなと思いました。

・saigenman 氏「うまログ」10月29日の日記*18
 ネットで薄い薄いと言われている味たけど、カラメにしたからかショッパイくらい

・「mogran 'BAR -DIARY-」*19【スープの味に關する記載なし】

・fluc-tu-a-tion 氏*20【スープの味に關する記載なし】

・・・色々な意見があるもんだなあ・・・