「二郎」がやつて來る

いよいよ今週末、「二郎」が關西に初上陸する。いや、正確に言ふと「二郎」ではなく「『二郎』の系統のお店」である。
店名は「ラーメン荘 夢を語れ」。何と、京都の一乗寺「天天有」の眞隣への出店だ。店主の西岡津世志氏は「二郎」の系統の「ラーメン○二(マルジ)」西新井大師前店で店長をされていた前歴を持つ。
さて、ラーヲタではない關西の方々は、「二郎」つてナニ? と思はるるであらう。それについては「ラーメン二郎」でググれば山ほど出て來るし、また一から説明してゐるとただでさへ冗長な文章が際限なく長くなつてしまふので、詳細は
・「ウヰキペデイヤー」
・「ラーメン二郎 PC店」⇒サイト閉鎖にて「ラーメン二郎PC店情報」に移行
・「冬月の部屋(リンク切れ)」
邊りを參照して頂くとして、誤解を恐れづひと言で言つてしまふと東京は三田にある夲店を中心として、 ジロリアン と称さるるコアーなフアンをあまた持つ、濃厚・お下品な味で暴力的な量が特徴のラーメン店である。・・・いや、「ラーメン店」と書くとジロリアン逹からお叱りを受けさうである。何せ
 「二郎」はラーメンではなく「二郎」といふ食べものである
といふ格言があるくらいなのだ。
他にも樣々な逸話を持つ「二郎」であるが、今迄に聞いた話の中で一番「なるほど!」と頷いたものは、
 「二郎」は舌で味はふのではなく、胃袋で味はふものだ

といふひと言である。個人的にはこれほど端的に「二郎」を表現してゐる言葉は無い、と思つてゐる。

さて、最初に私が「二郎」ではなく「『二郎』の系統のお店」と表現したのにも譯がある。私が聞いたところによると、現在「ラーメン二郎」といふ名前は商標登録されてをり、それを名乘る爲には三田本店でしゆげうする必要がある、とのこと。實際はしゆげう以外にも金の絡んだ噂も聞くが、ここでは追及しないことにしておく。
で、その夲店で修行した人のお店だけが「直系」と呼ばれ、ジロリアン逹はそれ以外は「二郎」と認めない、と聞く。西岡氏がをられた「ラーメン○二」は、All About*1によると、嘗ては直系の「赤羽二郎」であつた夲店(神谷本店)が獨立して「二郎」→「○二郎」→「○二」と名前の變遷を經、現在は板橋南町店、西新井大師店、北浦和店の3支店を擁する「マルジグループ」となつたものだ、といふことだ。
つまり「○二」は既に直系を外れてゐる上に、三田本店でしゆげう經驗の無い西岡氏の店は當然の如く直系ではない、イコール「二郎」ではない、といふことになる。(あーややこしい)
もつとも、ジロリアンの中には三田夲店以外は「二郎」ではない!!と言ふ原理主義者の方もをらるるさうなので、どこで線を引くべきか、といふことは食べる夲人が決めればいいことなのだらう。
とは言へ「二郎」の系統の中で、どういふレヴヱルの味が來るのか、は非常に氣になるところだ。先程の All Aboutの大崎氏のレポート の中で、一寸引つ掛かつたのは次の一節である。

次が赤羽(王子神谷なので王子と言われることもある)。
実はここも店名が「○二郎」と変わった。その理由も割愛する。

と表現されてゐるのだが、噂で言はれている樣に三田本店・總帥の山田拓美氏と決裂して破門されたのか、まあ破門までは行かなくても、喧嘩別れでもしたのであらうか? 實際、「二郎」から「○二郎」になつた際に直系店のみが使へる「カネシ醤油」が使へなくなり、味が落ちた、との話も聞く。(現在は直系用とは別の種類ながら「カネシ醤油」は使へてゐるので「破門」ではないのでは?といふ意見もある)

また、「○二」の味は三田「二郎」とは少し違ふ傾向みたひで

・「BB!ラーメン&つけ麺名店集!」
・「ラーメンデータベース」

等の情報を參考にすると、

スープが甘い
味がマイルド
麪がゴワゴワ
何度も通うとだんだん量が増えてゆく
盛りが多い時には脂が別皿で供される

といふ特徴があり、麪がゴワゴワなのは沸騰させないお湯に麪を入れてから茹でるからで、スープが甘いのは三田本店の山田拓美氏がタレを作る際のカネシ醤油とミリン風調味料の比率についてウソを教へたから、といふことだ。 (^^;;;;;

西岡氏が店長をしてをられた「○二」西新井大師前店については掲示板で

・「2ちゃんねる」
・「みんカラ」

等の評價がある。

色々な意見を讀んだが、多少の違ひこそあれ、「○二」も「二郎」のD.N.A.をしつかりと受け繼いでゐるのは間違ひなささうなのだが、如何なものだらうか。
・・・しかし!!!!!
その「二郎」のD.N.A.を「ラーメン荘 夢を語れ」が受け繼いでゐるか、また、よしんば受け繼いでゐたとしても、それをそのまま我々に傳へてくれるか、といふのは別問題だ。
東京の店が關西に進出する際に犯す 大きな間違ひ のひとつに、 「關西は薄味好みだから濃い味は流行らない」 といふ、 單なる思ひ込み で味を薄く設定してしまふことがある。デチユーンされてしまつたその味は、 元の味と似ても似つかない 、どうしやうもないシロモノとなつてしまふのだ。
ラーメンの卉界に於ては關西人=薄味、といふ図式が ただの幻想にしか過ぎない ことは、大阪なれば高井田系、京都なれば「萬福」、神戸なれば「こくいち」を食してみれば一瞬のもとに理解可能な筈だ。第一、濃い薄いの問題ではなく、店主が「美味い」と思はないものを提供して客が憙ぶとでも思つてゐるのだらうか?
まあ今囘の「ラーメン荘 夢を語れ」は「二郎」は無論、「○二」の名前すら使つてゐる譯ではない。それ故、これらは直接比較すべき筋合ひのものではない、といふことは百も承知である。堂々と「大勝軒」の看板を掲げておきながら、その看板と山岸一雄氏の顏に泥を塗りたくつてゐる樣な、 某「●池袋大阪大勝軒 などと同列に語るのは間違ひなのかも知れない。
しかし、この店の暖簾をくぐる人逹が「元・○二の店長」といふ經歴にどういふラーメンを期待するのか、また、その店で供さるるラーメンの向かうに何を見やうとしてゐるのか、といふことにつひてだけは、よ〜〜〜〜〜く考へを巡らしておいて頂きたいものだ。
・・・さあ、月 旧一はこの店にいくつ をつけることが出來るのであらう?
いよいよ10月20日18時、その店はオープンする。

  「ラーメン荘 夢を語れ」
   京都市左京区一乗寺西杉ノ宮町48-1 TEL.075-724-5995
   營業:18時〜24時(日曜のみ11時〜17時) 月曜休 (※10月23日(月)は休まず營業)


※2007.09.18追記
2007年8月06日より「○二」は名前を「富士丸」に變更したさうです。