「麺道 しゅはり」@六甲道 「冷潮らあめん」850圓 2006.07.21(金)實食

私は冷やしラーメンはマズいものだ、とずつと言ひ續けてゐる。
その理由は幾つかあるが詳細は別の機會に發表するとして、ひと言で言ふと「冷やすことにより美味さは増幅しないのに、ネガな部分だけが強調されてしまふ」からである。
逆に言ふと、そのネガな部分さへきつちりと處理されてゐれば、「美味い」とは言へなひまでも「マズい」とのそしりだけは免れ得るのだ。
で、そのネガな部分とはどんなものであるかといふと、主だつたものは
1. 甘味、旨味を感ぢにくくなる
2. 苦味の感ぢ方は温度に左右されにくいので、相對的に苦味がクローズアツプされる
3. 麵がかたくなる
ことだらう。
昨年から「美味い」と言はれてゐる冷やしラーメンの「彩色らーめんきんせい」「虎一番(ビリ)」「麺屋しゃかりき」と試して來たが、そのネガな部分がきつちりと處理出來てをり、金を出して喰ふ價値があつたのは「しやかりき」のものだけであつた。(それも4囘食して合格点は2囘だけ)

さて、「しゅはり」である。
先づスープを見ると、ゼラチン質の煮こごり狀となつてをり、實は此のタイプは「冷やし」として理に適つてゐるのだ。通常、5℃以下の冷たいスープであると、口に入れてからすぐに飮み込んでしまふ爲に温度が低いと味を感ぢられぬまま終はつてしまう。また、口に入れた瞬間から味を感ぢられる樣な10℃以上の温度だと、スレたラーヲタ共に「ヌルい」とけなされてしまふことになる。しかし、此の煮こごり状にすることによつてスープはすぐには飮み込まれづ、口内に滯留する時間が長くなる爲に結果として舌が味を感ぢ易くなるといふ利点がある。
その点では有利であつたのだが、此のスープには全く華が無い。口に入れ、舌でころがしてみても、「美味い!!」といふ感覺には程遠いのだ。まあ全體のバランスを考慮してスープを一歩退かせる筋合ひのものなれば、それも良かろう。しかし、退くことによつて苦味が前面に出てしまつては夲末轉倒だ。
此の苦味について私は單純に節系のダシから來るものだと思つてゐたのだが、我が親愛なるラーヲタ、メツチヤ氏はミネラル成分豐冨な塩(ぬちマース)から來てゐるのではないかと看破されてゐた。財団法人 塩事業センターの平成15年度版統計によると、「ぬちマース」はにがりの主成分であるマグネシユーム含有量が3.63%と、この時に比較調査した135種類の中でトツプであつたから*1、その可能性は非常に高いであらう。
要は店主が自分の店で使用してゐる塩が苦味成分の強いものであり、そしてスープを冷やすと人間の舌は苦味を感ぢ易くなる、といふことを全く理解してゐなかつた、といふことだ。もしそのことを理解してゐながら此のスープを作つてゐたとすれば言語道斷である。
また、麵の方も冷やして食することを全く考へられてゐない。ただでさへ「締まつた」狀態で供さるるのだから、元々の狀態が「ユルい」くらいでなければならないのに、舌触りがややゴワゴワしてをり齒應へもニツチヤリ感が出てしまつてゐる。
具はおろし生姜を添へられた鰹のたたきが載り、他に煮卵、梅おろし、とろろ昆布、桜海老、鰹節。あとスダチが添へられてゐる。ぶつかけうどんあたりを參考にされたのかも知れないが、おのおのの具がどれも今ひとつ合つてゐないので、結果としてごたまぜの譯のわからない味になつてしまつてゐる。
ここの「潮ラーメン」についてはそれなりに評價出來るものであつた*2ので、多少なりとも期待した私がバカだつた。普通のラーメンより200圓も餘分に拂つてまでキワモノを食してみたい、といふ奇特な人と、「限定メニウ」は食べづにはをられないコレクターのラーヲタさん意外には全くオススメする亊は出來ない。

月 旧一的評價;×