麺屋「しゃかりき」@千本丸太町 塩らーめん 2005.03.04實食

春の期間限定の塩ラーメンを試す。
この限定メニウは豚骨ダシと魚介ダシをのブレンド比を2:8、5:5、7:3の三種類のうちのどれかから客が選ぶ、といふシステムになつてゐるのだが、 スレたラーヲタ ならまだしも一般客はどれを頼んだら良いか全く分からづにかなり當惑することだらう。
ダブルスープの ブレンド比を客に決めさせることの是非 についてはまたいつか、機會をみてきつちりと話をしなければならないと思つてゐるので今囘はパスすることにして、新メニウの檢証と行かう。
以前食した和風煮干しらあめんは、實にいい煮干の香りでスープ自體の完成度は高く、

  • べつしやりとしたグルタミン酸系の後味が殘ること
  • あとひと味足りない感こと
  • 細麪がスープに合つてゐないこと

・・・と改善すべき点こそ幾つかあつたものの、少なくとも昨年秋(2004年10月末)の時点では京都で食べることの出來る魚系ラーメンの中ではイチオシであつた。
「豚骨:魚介=2:8」を ちう悶 www


塩らーめん(豚骨:魚介=2:8)750圓


今囘、私は豚骨が加はることによつて和風煮干の不滿点が改善されたスープになつてゐるのではないか、と祕かに期待してゐたのだ。
・・・しかし!!
その期待はものの見亊に打ち砕かれた。いや 「期待外れ」程度で濟む問題ではなく 、それを完全に超越した、 あまりにもひどいシロモノ であつたのだ!!
先づスープをひと口飮むと、あの煮干しの良い香りは皆無で ぶた臭さ のみが漂ふ。しかし豚で味が統一されてゐるのなればそれもアリかな、と思へないこともないのだが、ウラで8割を占める 魚介が猛烈に自己主張してゐる 爲、豚骨と魚介の自己主張がぶつかり合つて周囲に惡影響を及ぼし、 致命的な不協和音 となつてしまつてゐるのだ。
「しやかりき」初訪時(id:menmenmen:20040522#p2)に 「煮干しプンプン!」 を食した時は 豚骨と魚介が全然別の(あさつての)方向を向いてゐる バランスの惡さ が氣になつたのだが、今囘はとてもその一言では濟ませられない違和感、いや 氣持ち惡さ であつた。
このスープの 最大の敗因 は、 完成形としてのダブルスープの形がイメイヂされてをらづ 、まるで 素人 がただ單にいたづらで二つのスープを 混ぜ合はせてみただけ 、といふところにあらう。
きつちりと完成形のイメイヂがあるなれば、先づはブレンドすることを前提とした、 互ひが融和する樣なダシ を取る筈であらうし、しからば自づから 配合の黄金比 といふものが出て來るのは自明の理であり、その最終判斷を客に任せるといふ樣な 職場放棄 とも取れる 醜態 を晒さづに濟んだことであらう。
そもそも、「しやかりき」の ぶた臭い 豚骨ダシは、味噌と合はせても味を味噌で塗りつぶされないだけの 力強さを持つてゐる 。しかし、味をまとめあげる爲には逆にその個性の強さをカヴアーする意味での 「タレ」の存在が不可欠 であらう。そして、その樣なダシはもとより繊細さが求めらるる 「塩」には絶對合ひさうもない
この樣な 失敗作 を「限定」とはいへ「しゃかりき」のメニウに載せるのは、折角それなりの地位を築き始めた店にとつて マイナス以外の何物でもない 。今からでも「機動戦士ガンダム」に於けるGメカや、「ウルトラセブン」第12話の樣に 「最初から無かつたこと」 にすることは出來はしまいか。
人には得手不得手、といふものがある。無理に不得手な分野の「塩」を出さなくとも、「しやかりき」はあの濃厚な豚骨醤油でいいではないか。少なくとも、「塩」を作りたくば根夲的にイチからダシを作り直さないと、到底 金を取つて人樣に出せる樣なモノにはなり得ない
麪も少し變はつたさうだが、 スープのあまりにものひどさ に檢証出來る氣分では無かつた。


月 旧一的評價;× (到底金を取つて賣るべき品ではない)


追記
「ダブルスープ」を出してゐる、もしくは出さうとしてゐるラーメン屋さんなれば、 「バランスの惡い一例」 として 反面教師 とするのに一食しても良いかも知れない。