「ラーメン軍団」@一乗寺 重厚つけ麺 大盛り(350g) 2007.08.09 實食


重厚つけ麺 大盛り(350g) 700圓

開店半年も經過してゐないのに、早くも限定メニウが出た。その名も「重厚つけ麺」。
その名前から豚骨側に振れた、口の中がネバつく樣な重つたるいつけ汁を想像してゐたのだが、此は魚系のスープが上手く利いてをり、「重厚ラーメン」と較べるとサラリとした口當りになつてゐる。つけ麪にとつてはこのサラリ感は大亊であり、ただ濃いだけのスープだとそれだけで腹一杯になつてしまつて肝心の麪が食べられなくなつてしまう。だからと言つて逆に噐の底が見へるほど澄んだスープだと、麪の重さとの釣合ひが取れない。その点では此のつけ汁の魚系と豚骨のバランスは絶妙であつた。
また「重厚ラーメン」と違つてタレの甘味が強くてジヤンキイなのだが、それがまたつけ麪向きである。聞くところによると、店主の石田氏はあまりつけ麪を食べた經驗が無い、とか。それで此のつけ汁を作り上げるとは、感服に値する。
ただし、麪はダメだ!!
確かにその重量感、頬張つた時のワシワシ感、つるりとした喉越しの良さ・・・そこまでは認めやう。
しかし、ひと噛みした途端、作りの惡さが露呈する。
先づ第一に、硬い。まあそれだけなら麪の硬さを「コシがある」と勘違ひしてゐる店は他にも山ほどあるのでさほど責める氣にはならないのだが、此の麪はまるで粘土を押し固めた樣な硬さだ。モチモチ、ムテイムテイした彈力性に欠け、その上強く噛むとプツン!、と潔く「切れる」のではなく、ニツチヤリと齒が入つた後はある一定点を超へるとぼろり、ともろく「崩れて」しまふ、非常に不快な食感である。
また、おそらくは鹹水由來であらう苦味が強く出てゐるのもマイナス点だ。百歩譲つて苦味の方は濃厚かつジヤンキイなつけ汁でマスキングされるとしても、此の噛み心地の惡さは如何ともし難い。
麪に關しては當ブログからもリンクしてゐる、アクセス數の伸びなひ不憫なブログ「ハシダ・麪 プチ日記*1」でも「コンデイシヨンが惡い」との記載がある。確かに私が訪れた時も、夜ではあつたが店内にゐるだけで汗だくになるほど暑かつたので、もしかすると暑い時「だけ」ダメなのかも知れないが。
具は厚切りのチヤーシウと、冩眞では見えないが煮卵が丸々一個ごろりと入つてゐる。下手に飾り立てしなひで實を取る、此の供し方は非常に好ましいが、「重厚ラーメン」ほどヘヴイなスープではないにしても、それでもかなりこつてりしてゐる此のつけ汁に煮卵丸一個といふのはサーヴイスとしては嬉しいものの、些か重過ぎる樣に感ぢらるる。
まあ麪と違つて煮卵は、食べられなければ殘せばいいだけのことだから別に構わないのだが、全體のバランスから見ると半分の大きさでも十分なのではなからうか。
さて、此の「重厚つけ麺」、當初のアナウンス通りだと今月末までの期間限定メニウである、とのことだ。
期間限定にするのは正解であらう。巷ではレギユラーメニウ化を望む聲もある樣だが、麪が此の状態ではまだ時期尚早に過ぎる。
まだ開店半年ではなかなかそんな餘裕も無ひのかも知れないが、色々なお店のつけ麪を食べ歩いて、もつとつけ麪の麪についての經驗値を積んで頂いてからのレギユラーメニウ化でも決して遲くはないだらう。

月 旧一的評價;★★

【追記】かの「麺屋しゃかりき」でも「つけそば」をレギユラーメニウ化した2005年3月から數ケ月に亘つては、モチモチ感の皆無な「痩せた」麪を供してゐた時期があつた。それを踏まえて見切り發車で現在の麪でレギユラー化してしまい、少しずつ改善してゆく、といふテもないではない。
しかし、「しゃかりき」の場合は東京で修行された店主の梶氏がつけ麪といふものをよく知つてをり、尚且つ明確なヴイジヨンもあつた。ただ當時の「麺屋 棣鄂(ていがく)」にそれを具現化するだけの力量がまだ無かつただけであり、現在の「ラーメン軍団」とは少々亊情が異なる。
それでもレギユラー化しなくてはならなひのなら、折角棣鄂さんと取引があるのだから「しゃかりき」のつけそば用の麪を卸して貰ふことは出來ないものだらうか。つけ汁の出來は良いのだから、麪で味の印象がどう變わるのか、一度確かめてみたいところだ。

【2008.01.21追記】その後何度かの試作麪を限定販賣した後、2007年12月10日頃より棣鄂特製の新しい麪に變更されてレギユラーメニウ化されました。ギユツ、と締まつた彈力ある齒應へのものになつてをり、この酷い麪とは別物です。


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ラーメン軍団

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