ラーメン軍団@一乗寺

まずは、とんこつラーメン好きの店主が作る軍団のような店ができて素直にうれしいですな。

現時点で私的に満足できるハイレベルなとんこつラーメンを常に提供してくれるお店は私の生活圏では無鉄砲と天神旗の2店のみで、滋賀の風火がちょっと水を開けられてついてくるというイメージだ。(まりお流はエロんな意味で異次元の空間にイッてしまっているのでとやかくはいわない(^^ゞ)

しかしその天神旗にさへトッピング等の好みの違いのせいで、あまり足を運んではいない。1日に100杯程度の商いをしているであろうと思われるお店でケツ構おいしい店は有るには有るが、私が真にとんこつのプロとして認めたい店は営業中も常に変化するスープの状態を見ながらスープのレヴェルを一定に保てるお店である。条件に適う店は現時点では前述の2店だと思うわけだ。

私(27歳)の場合すでに消化能力が落ちてきているので、ただスープがネットリと濃ければ良いというわけではない、距離は有るが岡山・笠岡のおっつあん、岡山のえびすラーメン等はスープそのものの粘度はさほどではないが、関西に有れば味はトップクラスだと思っているし実際定期的に食べたくなって足を運ぶくらいだが、数日間食べ歩いた九州ではそういう店には巡り会えなかった。理想のとんこつスープは粘度はそれなりの濃さなのにフワーっと卵のようなふくよかな甘みが広がるスープである。臭いに対する許容範囲は広いと思っている。

寸胴にスープを作って後は予定数を売り切ったらお終いでは、例えおいしいラーメンを出す事が出来たとしても、とんこつを極めたとは認めたくない。
無鉄砲を例に取ると、呼び戻しのスープを基に営業前に仕込んだスープで営業を開始するが開店時に多いときには40〜50名も並ぶお客さんのラーメンをなにげに釜から採って丼に移しているだけではすぐにスープは枯渇してしまう。か、と。言って水で薄めてしまったのでは濃度が下がり売り物にならなくなる、だがまだまだ外にお客さんは並んでいる。具体的な手法は明かせないが、そういう追い込まれた状況の中にあっても常にハイレヴェルな一杯を提供してくれる。
暇な店なら煮込んでいれば水分が飛んで煮詰まった状態になり粘度だけはいっちょまえに出てくるがフレッシュさはどんどん失われ、代わって高温に晒された固形分のせいでイガラっぽさが出てくる。驚くべき事に無鉄砲は休日の昼飯時であろうが、平日昼下がりのアイドルタイムであろうが常に一定の濃度を保っているのだ。

これは店舗設計の段階からスープの生産キャパと座席数等、かなり綿密な計算の基に成り立っている。店主の赤迫氏は外見はあのように豪快な方だが、常に客席を見回しつつも、細心の注意を払い五感をいや第六感までも駆使してスープ作りに集中する事によって可能にしている。

とんこつスープを少しでも囓ったものならこの手法がいかに労力のいる方法なのか分かる筈で初めて見た者は必ず目を丸くするものだ。何せスープの仕込みに使っているのは骨と火と水だけで、店の裏にラードの缶缶が転がっているなんて事も全く無く(笑)いかに実直にスープに向き合っているかが伺い知れるわけだから。とんこつラーメン!!と幟を上げつつ厨房では業務用スープを湯でのばして¥700とかで売ってる店に無駄ゼニを落とすくらいならば、是非こういう実直なお店に食事代は奉納していただきたい。

さて、そこで軍団だが店主の石田氏は他店で修行されたわけではなく、自作ラーメンで研究を繰り返しついには開店するという暴挙(失礼)に出てしまったお方で、前述のようなスープのなんたるかという事は殆ど学ばずにいまのラーメンを作り上げたのはこれはまさに快挙である。

とんこつスープの好みを語る上で豚クサイとかアンモニア臭とかネガティブなイメージをもたれる方も多いが豚骨材料の中でアタマ(豚頭)をブレンドしている店ではツンと来る臭気が多い。ただ、材料費もゲンコツ(大腿骨)に比べて安いのと九州地区ではかなり一般的に使われており脳裏に刷り込まれているため、この臭いがなきゃとんこつラーメンとは認めないという人も居るくらいなのだが、関西では臭気を嫌って敬遠する店やブレンドする割合を減らす場合が多い。又、アタマを使っていないから臭気が無いかというとそういう単純な話ではなくスープと会話の出来ない店では嫌な臭気を放っていることもままある。
ムテではあれだけの豚骨を大量に投乳していながらほぼパーフェクトにネガな臭気をコントロールしているのは驚くべき事だし、常に変化する状況に対する即応性も見事だ。

ここ軍団ではアタマは使わず旨みだけを抽出しようという方向性のようで石田氏が頭に描いている理想のラーメンがどういうものなのか朧気に見えるような気がする。
ただ、知識が無いが上のロスも相当あるようでかなり回り道をしながら苦心されておらるるようだ。

で、070628実食分の重厚ラーメン

スープがとにかくへヴィ!!重い!!!腹に溜まる!!!でその上チャーシューがバラ肉の厚切りで脂身が多いというメタボリックな追い打ちをかけられれば、夜にいただいても翌日の昼食までパスできそうな程である。スープを飲まなくても麺を食べ終わったら大半のスープは腹に入ってしまっているような絡み具合である。

スープは時間帯によってはやはり煮詰まり気味の印象は拭えないが、火を止めて、あるいは細めて手鍋で暖めているのでイガラっぽさなどはなく風味も良い。今日は暇なので煮詰まってます、今日は忙しいので娑婆いですでは足を運んでくれるお客さんがどちらのラーメンがこの店のラーメンなのかとまどってしまう。スープをいかに均して供給するかが今後の課題のようである。


0709830実食の重厚ラーメン

雉をウプするにあたって再度重厚ラーメンをいただいてきた。石田氏は『つけ麺ですか?』と聞いてくれたが好評のつけ麺は9月一杯まで延長されるようなので近いうちに再訪したい。

今回のスープは前回に比べるとかなりマイルド、人によっては娑婆いと文句を人もいるかも知れないが私的には程よい濃度で旨みは十分抽出されており食べやすい。スープが麺に絡んでどんどん減っていくわけではなく至ってノーマルだ。どうやら真夏に関しては意図的に濃度をやや落として提供されているらしい。ただ、7月頃の濃厚なのをイメージして食べにくるお客さんは拍子ヌケするだろうし、ブレの大きい店だと揶揄される前にアナウンスしておく必要はあるかもしれない。デフォのラインがビシっと決まらない事に対するジレンマもお客として少し感じる。

現時点でお客さんがどっと増えたりすれば忽ちスープの供給が追いつかなくなる可能性があるが、家族が喰えてこそ商売。石田氏も状況を見ながら徐々にペースアップの時期を見極めつつ研究に禿げんでおらるるようで、良い情報は取り入れつつレヴェルウプを図られる事を期待してやまない。

私によく聞こえてくる天の声は『とんこつスープは火が命』である。

禿(かむろ)波平



ラーメン軍団



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