樂鰊、もとい「洛二神」@天五 が美味かつた時代の記亊

※注:以下の記亊は2001年2月「洛二神」がオープンしてから一年くらいの間に「KANSAI 愛しのラーメン」の記亊として書かれたものです。現在の「洛二神」の味とは 全く別物 であることを御理解の上、お樂しみ下さい。

2001.08.31撮影


煮干し、鰹節等から取った魚系のダシにとんこつ、鷄ガラ、牛骨等の動物系のダシを合わせた和風「ダブルスープ」が特徴的な店。
この「ダブルスープ」自体は別に特に目新しいものではなく東京には以前よりあったものなのだが、関西圈でそれを前面に出した店はおそらくここが初めてであろう。ダシには前記の魚系、動物系のものの他に昆布、干しえびなどの乾物も使用されていて味に深みを与えている。また表面に浮いている油は多く見えるが実際はかなりあっさり味に仕上がっている。
輕くちぢれた中細麪は喉越しが良く、具も箸でつまむと崩れそうな程柔らかい肩ロースのチヤーシユーに海苔、白髪葱と青ネギの組み合わせ、そしておまけにシイタケと独自性がある。
こだわりはそれのみにとどまらずサイドメニューにまで及び、黄身がとろける半熟の煮卵は茹で加減が絶品、やや味の染みが弱い気もするがあまり濃い味になってもラーメン全体のバランスを崩しそうなのでこれ位が適当か。
その煮卵とよく味の染みたチャーシューの耳のコマ切れが載せられたきざみ御飯もよく考えられているし、ビールのアテに適量なおつまみチャーシューは何と100円!!メインのラーメンはもとよりサイドメニューにまでここまで気配りがいき届いた店もやはり関西圈では初めてである。
そして何より、煮干しのよい香りがぷ〜んと漂っている店内は嬉しいことに禁煙であるので心ゆくまでその香りを堪能出來るのがまたいい。
唯一気になったの点はその香りの良さから想像されるほどのパンチがスープを飮んだ時に感じられないことだ。個人的に魚系のスープは少々下品目の方が美味いと思っているのだが、ここのスープはひたすら上品に仕上げられていて、それが特徴でもあるのを承知の上でも私としてはやはり物足りなさを感じてしまう。
そして先日*1、愕然としたのは以前行った時と比較してダシが魚系から動物系にシフトされていたことだ。

最大の特徴である魚系のダシを排除してどうする?!

実際、寛容にみえて実は保守的な関西人に新しい味を浸透させるためにはかなりの苦戰を強いられるだろう。香りは強いが味で極力魚臭さを排除したスープにも、並々ならぬ努力のあとが見受けられる。
しかし元々、大阪で万人に受け入れられる味を供したいのであれば、別に魚系のダシを使う必然性などなかったはずだ。そこにわざわざ手間のかかる「ダブルスープ」で魚系の味を導入したのは店主がその味を美味いと思い、それを関西圈でも広めよう、と考えたからではないのであろうか。
そして、こういう系統の味を渇望していた私はその志の高さに共感し、心からの拍手を送っていたのだが・・・

・・・現在、 は4個つけてあるのだが今後の味の変化によりその數は上下させてゆく所存だ。
関西圈には珍しい、類い希なるセンスを持ったこの店が現在の位置にふみとどまり崇高な魂を維持できるのか、はたまた衆愚に媚びるそこいらのラーメン屋になり下がってしまうのか、今後をじっくりと見守っていきたいと思う。

追記1
2001年12月より「ビールのアテに最適」と記したおつまみチャーシューはメニュー落ちしてしまった。
かわりに御飯もので「きざみご飯」と「味玉きざみご飯」を選べる樣になったのだが、値段も内容も絶妙だった此のメニューが無くなったのはとても残念である。

追記2
最近の訪問では、結構魚系の味と香りが前面に出ていた。「おっ?なかなかやるな?」と思ったのも束の間、魚ダシ成分は以前と同じか、むしろ少な目の樣だ。そのかわりに魚の身を砕ひたフレークがかかつていて、見せかけの魚の香りをつけている。お手輕で姑息なのだが魚系のダシをウリにする店では時々見られる手段だ。それに對する評価は難しいところだが、魚の香りが消えてとんこつダシが前面に出たときと比較したらこちらの方がバランスはいいし、それなりの美味さはあるのだから、評価は ★★★★ のままでまあダマされておくとするか。


ちなみに、現在*2の「洛二神」のスープはまるで うどんだし 。冩眞を比較して頂ければ、スープの濁りの違ひがよく分かるでせう?
しこたま飮んでベロベロになつた状態なれば、丁度いい味かも知れないが、大變殘念なことに「洛二神」は泥醉客お斷りなのだ。
關西におけるダブルスープの嚆矢としての自覺を持つて頂き、捲土重來を期待する。

注:もし「魚味(うおくち)」があれば、こちらの方は 「魚つ!!」 で美味かつた*3ので、魚が嫌いな方でなければ一食する價値はあるだらう。


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*1:注:2001年末

*2:2008.02.16實食

*3:2006.03.16實食