「麺哲」@豊中 M・Kラーメン 2004.10.31/11.19實食

「麺哲」庄司氏の作るラーメンといふと先づ「麺主役」「あつさり」が頭に浮かんでしまふ。
嘗て「京都百年屋」をプロデユースされた際に「こつてり」を作られたこともあつたが、單なる「こつてり」ではなく節系が變へられてゐたり脂の使ひ方が違つてゐたりして、彼の作るラーメンの原型を知る者にとつては「こつてり」の彼なりの解釋の仕方を樂しめた反面、一見のお客さんが「こつてり」を注文した場合にどれだけ想像と内容が一致してゐるかといふことに對しては少々疑問が殘つたのも亊實である。
その庄司氏が萬人に分かり易い文法で作られたのが此の「M・Kラーメン」である。先述の通り(id:menmenmen:20041130#p1)そのネーミングから敬遠されてゐる方もをらるるかも知れなひが、誰が食べても「こつてり」だとわかる作りとなつてゐる。


M・Kラーメン


先づ見た目からして、黄色く不透明なスープはとても「麺哲」のラーメンとは思へない。冩眞の印象から受ける程のコラーゲン系とろみは無いものの、ひと口含んだだけで濃厚な旨味が廣がる。初めて食した時にはその印象から鷄のみのダシだと思つたのだが、實は鷄と豚兩方の、しかもガラを使用せづ肉のみでダシを取つてゐる、とのこと。日によつて兩者の割合は變へてをらるるさうだが、やはり鷄成分の方が多いことと、あとは鷄油のイムパクトが強いせいで鷄が前面に出て來てゐるらしい。
ラーメンのスープにとつて、味を一定に保つ上での最大の敵は脂肪分の酸化による劣化であらう。とりわけ鷄スープはその劣化が激しく、酸化した脂肪は獨特の臭氣を放つ樣になる。京都の「福三」で「濃厚鶏そば」が限定數で供さるるのは原價率の問題もあらうが、ひとえにそのスープの「持ち」の惡さ故である。
それを防ぐ爲に一旦取つたスープを冷蔵保存、注文あるごとに一杯分ずつ温め直してゐる、といふことは以前波平氏がレポートされた通り(id:menmenmen:20041009)だが、その際 「ゼラチン質で固まってプルンプルンしている」 ゲル状だつたのが現在は冷蔵庫に入れても固まらづ、流動的なゾル状となつてゐる。此は一度取つたスープを更に攪拌してゐるさうで、ホモヂナイヅド(均質化)された故であらうか。取つてからかなり日數の經つ(三週間、と聞いた氣がするが不確實)スープを冷蔵庫から出してすぐの状態で舐めさせて頂いたのだが、鷄油系の臭味が全く無かつたのには驚きであつた。
かうして鷄のネガな部分をとことん排除した上で旨味のみが抽出されたスープは食べてゐる途中で飽きることもなく、十分な食後の滿足感とまた食べたくなる中毒性を我々に与へてくれる。
冩眞では黄色く冩つてゐる麪だが、實際は若干黒ずんだ樣に見へる。此につひても波平氏がレポートしてゐるが、實は昆布が練り込んであるさうだ。海藻を練り込んだ麪といふと三宮の「豆市」や下京区の「風花」でワカメを使用した緑色の麪があるのだが、あの色だと一向に食慾をそそられないので現状の色にとどめてゐるのは賢明と言へるであらう。

「遊びですよ」

庄司氏は言ふが、この麪がなかなか美味く、昆布に含まるるグルタミン酸効果であらうか、イノシン酸系優位のスープによく合つてゐる。食感がわづかにぬるりと感ぢらるるのは新潟の小千谷名産の「へぎそば(『ふのり』をつなぎに使つた蕎麦)」を彷彿とさせ、これがまた獨特の喉越しとなつてゐるのだ。
たつた一つの難点を擧げると、あまりにも「麺哲」の基夲の味からかけ離れてゐる故、店全體としてのメニウの統一感を欠いてしまふことだ。「あつてはいけない」メニウなのに「無くしてしまふのはとても勿体無い」と感ぢてしまふジレンマ。その統一感の欠如、及び今後の更なる進化を促す爲に ★★★★★ +α でとどめておくつもりであつたが、記亊を書いてゐるうちにその味が思ひ出され、また食べたくなつて來てしまつた。。。ので、

月 旧一的評價;★★★★★ !!!!!
 ↑
久々の ★★★★★ いただきました!!!ヽ(´ー`)ノマンセー 堺まちゃあき風

波平