「鮎ラーメン」@くずはモール 2005.04.11實食

鮎は私が最も好きな魚の一つである。初夏の頃、行きつけの店で鮎が入つたと分かればすかさずちう悶、塩燒きにされた小振りのサイズのものにタデ酢をちよい、とつけて頭からかぶりつく。すると身の味と、ほろ苦い内臓の味が入り交ぢり、「香魚」の別名そのままに鼻に拔ける苔の香りが私を恍惚の卉界にいざなつてゆく。。。
兎に角、鮎と鱧を食べねば夏が迎へられない、といふ程鮎好きの私ではあるが、それをラーメンに、となると疑ひの目で見ざるを得ない。鮎は個性の強い素材であるが故、個性を突出させ過ぎるとラーメンには合はないであらうし、逆に個性を抑へ過ぎたら今度はわざわざ鮎を使ふ意味が無くなつてしまふ。
ラーメンに魚、しかも鮎!・・・といふことで、キワモノ臭さが芬々である。さて、どの程度のものを食べさせて頂けるのか?!・・・お手並み拝見と先日、當直明けの午后に試して來た。
店は京阪樟葉驛のシヨツピングモール「くずはモール」の「ダイニングストリート」にある、とのことだつたので館内を探したのだが見當らない。實は店の入口は外部に面してゐるので行かるる方はお間違へのないやうに。
プレオープンではあつたのだが天氣の良い日曜の午后といふこともあり、食亊時を外して來店(14時過ぎ)したのだが、店の前には數人の列が出來てゐた。しかし客の囘轉はなかなか良く、10分も經たづに入店。席は奥に長〜〜いカウンタのみだ。
當直から解放されし自由を滿喫すべく、先づはビイル。アテには「味付卵と朴葉味噌」を選ぶ。卵への味の浸透はイマイチであつたものの味噌を付けつつ食せば全く氣にはならづ、量的にも腹を膨らすことなくビイルを飮ませる、といふ点ではなかなかよく考へられたアテである。これが200圓といふのんは他が割高な價格設定の店の中で、かなりリーズナブルに感ぢられた。
ビイルで人心地がついたところで「鮎○ゴトラーメン」をちう悶。品書きでは「ゴト」を赤○で囲んでるだけであつたので「アユゴトラーメン」と讀んでしまつたが、「○」も入れて「アユマルゴトラーメン」と呼ぶのださうだ。
先づはスープをひと口・・・最初に不自然なグルタミン酸の味が來ることは些か氣になつたが、「ピカーリ食堂」や「風花」、「大中」の樣に胸が惡くなることはない程度である。
「飛騨高山から直送される」といふ鮎は、骨とともに内臓も拔かれてゐるのは鮎ヲタにとつては少々殘念なれど、酒のアテならぬラーメンの具として使用するなれば致し方の無いところか。「お客様の目の前で焼き上げる」鮎は一夜干しにされてをり、燒き川魚の香ばしさを殘しつつもネガな臭みがほぼ排除されてゐる。
トツピングに載せられてゐる小さな葉つぱは何と「タデ」ださうだ。鮎の塩燒きにはタデ酢がつきものなのでさうしたのだらうが、實際のところ色合ひ以外には何のメリツトも与へてはゐない。ただ此の邊りの「こだわり」には思はづニヤリとさられたので、味を壞してゐる譯でもないので無下に否定することもなからう。
黄色い極細縮れ麪はスープがあつさりなせいもあつてかいくばくかの鹹水臭はするものの、極細なのに最後までのびることなくそこそこ食感を樂しめた。
單純に麪のみ、スープのみを取り上げればさして印象に殘る味でもないのだが、全體として見るとそれらが逆に具の鮎とケンカすること無く、「鮎」を中心に据えたまとまり感が出てとてもいいバランスとなつてゐる。
キワモノだつたらどう評してやらうかとイヂワルな氣持ちで行つたのだが、豫想外にイイ!(・∀・)b 出來に脱帽して歸途についた。


月 旧一的評價;★★★


追記
私は例の如くコストパフオーマンスに關しては問はないが、くずはモールに來る客層が此のラーメンに1000圓を払ふ價値を見出せるかといふ点に關しては甚だ疑問ではある。
値段以外に量的にも味的にも、かういふシヨツピングモールではなく木屋町邊りで營業した方が、飮んだ後にちよつと一杯食べるには丁度いいのではないかと思はるるのだが。。。