「福三」@北山通り北、大宮交通公園近く

2005.01.14實食。

久々に訪問してみると、メニウが變わつてゐた。それなりの味ではあるが、「福三ラーメソ」の爲に作つたダシで塩を作るといふムリのあつた「白ラーメソ」と、一度食べてみればそれでよし、のキワモノの「黒ラーメソ」がメニウ落ちしてゐたのだ。リピータを作る爲の經營的戰略で愚にもつかなひ派生メニウを増やした結果、そのラーメン屋さん自身の「顏」を見へ辛くしてしまつてゐる店が多ひ中、少々ごちやごちやしてゐたメニウをすつきりと整理して「顏」をきつちりと見せることにしたこの英斷には拍手を送りたひ。
夜の部の訪問、といふことで、基夲メニウの「福三ラーメソ」をちう悶。
運ばれて來たラーメソを見て、「あれ?『濃厚鷄そば』をちう悶したつけな?」と思つてしまつた。
スープをひと口飮むとそのヴイジユアル通り、やはり以前より濃厚に感ぢらるる。前囘感ぢた「甘さが抑へられた」感覺は無かつたが、ナムプラーの香りは弱ひままだ。店主に問うてみると、今囘もナムプラーは減らしてをらづ、ミンチ等を増量してダシの方を濃厚に仕上げた關係ではなひか、とのことだ。
私が「福三」を初めて訪れてからまだ一年經つていなひが、來る度に味が變化してゐる。昨年4月29日の樣な味(id:menmenmen:20040429)はご勘弁だが、それを除くと毎囘きつちりと味を出してをらるるのはさすがである。
さて、今囘の味はどうかといふと、たしかに美味ひのではあるが、私が「福三」に期待してゐる味では無かつた。スープは濃厚、しつかりとしたコクもある。しかし、初めて食べた時に感ぢられた味のシヤープさに欠ける樣に感ぢられたのだ。
初訪時の「福三ラーメソ」に對し、私は「鯖寿司を合はせると味の記憶がぼやける」と評した(id:menmenmen:20040401)。今囘の味だと鯖寿司と一緒に食べても多分、負けてしまふことはなひであらう。さういふ意味合ひでは「福三ラーメソ」は店主の考へる完成形に近付ひたのであらうが、「福三」ならではの唯一無二の個性、といふ点では以前のものに劣ることは前囘(id:menmenmen:20040727)同樣やはり否めなひ。
だからといつて現在の「福三ラーメソ」の出來が惡ひなどと言ふ氣は毛頭無ひ。かういふ味を好む向きも多數をらるるだらうし、私とて10年前の自分なればこちらの方を推擧したかも知れなひ。「濃厚鷄そば」も併せて「福三=濃厚」の圖式を作ろうとしてらるるなればそれもまたよかろう。
ただ、私は個人的に、きつちりと取られたダシにナムプラーの個性的な香り、そして食べ終わつた後も胃にもたれづすつきりとした後味の殘る初訪時の味の方が好きであつた、といふだけのことである。


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