「まりお流ラーメン」@奈良市尼辻町 こってりとんこつ 2004.06.01實食

「こつてりでなければとんこつぢやあない!!!」
「『とんこつなのにあつさり』はただダシが薄いのんを誤魔化す爲の騙し文句だ!!!」
・・・といふこつてり至上主義の私ですたが、最近、その信念がぐらつき始めますた。
「 ま り お 流 」
この、常識では推し量れない味を創造する店が、私の味覺の根つこを大きく揺さぶつてゐるのでし。
前囘、非常に美味い鷄すきを食した後に腐氏*1がちう悶した「こつてりとんこつ」を少し頂き、「關西圈では3夲の指に入る」とその成長ぶりを絶賛したところ、 有頂天になつて あちこちでふれ囘つてをらるるさうだ。彼を舞ひ上がらせてしまつた限りはその後の檢証もせねばなるまい、と試しに行つて參りますた。
「こつてりとんこつ」を ちう悶www
「此のスープに 背脂を溶かしたら ・・・」とのたまう店主をおしとどめ、「いいから、背脂もラードも入れないで!!」と念押しして作つて頂きますた。

こってりとんこつ

出て來たラーメンは茶色く濁り、スープはどろりとしたゲル状。豚骨のコラーゲン成分によつて脂肪が乳化してをり、獨特の臭氣がたち上りまし。苦手な人は鼻がひん曲がるでせうが、此の程度なら博多に行けばラーメン屋さんの店の前で感ぢらるる程度のもんでし。
自家製の麪は博多風の低加水麪。此の粉つぽさがゲル状のスープによく合ふ筈。
スープが濃厚なのだからチヤーシウは脂身の少ないモモ肉。以前、指摘した改善ポイントがきつちりと直されてゐるのんは評価出來まし。
さて、實食。
ううつ、濃厚つ。
しかし、濃厚なのに豚骨自体のダシが何故か遠く感ぢまし。今迄の常識では豚骨スープででろでろに乳化したものは、喉を通るときに必づ引掛かりがあつたもんでしが、此は案外すんなりと通過しまし。でも口の周囲は脂でてらてら、次のひと口が飮めないのでし。注文通り作つて頂いた細麪も、これだけ脂だらけになつてしまつてはスープと乖離してしまひまし。
・・・背脂も、ラードも入つてゐないのに、この大量の脂はどこから來たのでせうか?ひよつとすると、豚頭を使ふときに骨ではなく、脂、及び膠質成分の多い顏を其の儘使つたのであらうか?!
後から訊くと、 皮と豚足を大量に加へた 、とのこと。
・・・理由はそれかいつ!! 凸(-_-#
私が今迄とんこつを語るに際し、ダシの弱さにつひては口を酸つぱく言つて來ますたが、まさか強過ぎることにつひて言はなければならない店が出て來るとは想像だにしませんですた。どんなにでろでろ、濃厚になろうとも、そこには限界があると思つてゐたのでし。
今囘、その 「常識」を遙かに超へる メガトンパンチの洗礼を受け、「とんこつはこつてりすべき」といふ私の信条が木つ端微塵に打ち砕かれてしまひますた。
これまでの人生において私は、とんこつはこつてりしてゐれば美味くなる、と思ひ續けて來ますた。しかし、限度を超へたこつてりさのスープは、美味ひマズヒの以前に 「食べることが出來ない」 亊を思ひ知らされますた。
夲日二軒目だからかな、とも考へますたが多分一軒目でも、いや、でろでろとんこつを探し求めて彷徨つてゐた10年前の私でも、到底完食することは叶はなかつたでせう。尻極、麪は半分、スープは1/4も飮む亊が出來ませんですた。大食漢で知らるるお向かひの某醤油屋さん*2もスープを半分以上殘してをられますたので、實際此のスープを美味ひと思つて飮み干すことの出來る人はどれだけをらるるのでせう? とんこつ命! の私ですらこの有樣ですから某氏の日記*3の樣に拒否反應を示さるる方も少なくはなひでせう。
しかし、皮と豚足を常識的な量に減らしてバランスを取り、足りないグルタミン酸成分を化調で補へば嘗て評した通り*4最強のとんこつスープに變身し得る可能性は祕めてゐます。
ただし、 味を足し算することしか頭にない 店主がそれを理解してスープを作り、よしんばそれが出來たとしても、その同ぢ味を維持出來るかといふことには大きな疑問符が付きましが。

月 旧一的評價; つ。

ケフの格言;過ぎたるは及ばざるが如し。

*1:現・カムロ氏

*2:http://www.asm.ne.jp/~soy/

*3:id:ross-mig:20040504

*4:id:menmenmen:20040430