宗家一条流がんこラーメン十八代目@千日前 by 月 旧一

「がんこ」が大阪に來る、といふ噂を聞いたのは夲年4月初旬のことだ。でも當初は「がんこ寿司とかいふオチぢやあなひの?!」と半信半疑であつた。
しかし、それは杞憂であつた。正眞正銘「がんこ十八代」ださうだ。
・・・ん?「がんこ十八代」つて既にあつたんぢやあなかつたつけ??・・・その分家筋か?・・・と思つて調べてみると、役者さんが店主で嘗ては會員制だつたといふ江古田の「がんこ十八代」は現在、場所を移轉し獨立、「いちや」となつてゐるさうだ。(http://www.ichi-ya.com/
つまり、此の「宗家一条流がんこラーメン十八代目」は正確には「がんこ十八代・二代目」となる。あーややこしひA(^_^;;

兎にも角にも正式な「がんこ」としては、關西初お目見えである。私は夲來なれば新店は、ある程度日が經つたのちに味が落着いてから訪問するのが常なのであるが、初期狀態をきつちりと見極めておいた方が良いだらう、と開店當日に試して來た。

當初は關西人向けにデチユーンされた標準の味を試さうと思つてゐたのだが、どう考へてみても私が滿足出來る筈はない。しかし初訪でいきなし最郄にしよつぱひ「4.0」をちう悶するのも躊躇はれたので「店主が一番美味いと思ふ濃さで」とちう悶。後で訊くと「3.5」であつたさうだ。
出て來たラーメンは、トツピングの揚げ葱が無いのんは殘念なれど、それ以外のヴイジユアルは「がんこ」そのもの。
スープをひと口。家元の「塩4.5」を食したときの樣な、ガツ〜〜〜ン!!!!と腦天に突き拔けるが如きしよつぱさこそないものの、一般的な關西のラーメソと比較するとかなり塩分は強く感ぢらるる。ただし、私が忌み嫌つてゐる「塩のカドが立つた」しよつぱさではなく、とてもマイルドな口當りである。
その塩味に合はせてかダシもこれまたマイルド。とてもバランス良く丁寧に作られてゐる感ぢはするし、また決してダシにも不滿は無いのだが、家元のイムパクトを期待して行くと肩透かしを喰らふことになるであらう。
黄色く縮れた細麵はうどんテボで茹でられ、某赫シヤツ氏ならフフンと鼻を鳴らしさうな扱ひであるが、最後まで良い齒應へが續いた。店主はブログで「麺は硬く・・・」と書いてゐたが、全然さうは感ぢられない。もしかしたら私の分の麵が「柔らかい」のんだつたのかも知れなひが。
卷きバラチヤーシウはほろりと崩れるほど柔らかいが、肉の味が拔けてをらづなかなかの出來。スープがあつさり仕上げなのでバラの脂身が丁度それを補完してゐる形になる。
さて、評價であるが、波平氏には「譯のわからないコメント」だと言つたもののはつきり言つて難しい。私は「がんこ」系は系圖に載らない店を含めても7、8軒しか食べてゐないのだが、この「十八代」はまとまりの良さとしてはその中でトツプクラスである。そのまとまりの良さに食べた直後は☆☆☆☆!!だとは思つたものの、後味があまりにもさらりと消へ過ぎた爲、時間が經つにつれて物足りなさがつのつて來たのだ。
以前、家元の「塩4.5」を初めて食した時は、その後新幹線に乘つて新神戸驛に降り立つまで何時間もの間、味の余韻がたなびいたものだ。
「十八代」には「十八代」として目指す形があるのだらう。しかし、一度でも家元の衝撃を受けた人間は、骨の看板を見るとそのイムパクトを求めて暖簾をくぐるのだ。無論、その樣な客は「十八代」に來る客の中ではごくごく一部でしかない亊は重々承知の上なのだが、私が味はつた「衝撃」をこの大阪の地で再現して慾しいと願ふのは、やはり叶はぬ夢なのであらうか・・・
・・・とまあ慾を言ひ出せばキリはないのだが、實は當初あまり期待してゐなかつたのでその出來の良さに驚ひたことも確かである。このクオリテイを維持しつつ、しつかりと大阪に根付ひて行つて貰ひたいものだ。何せ大阪府下で私が人に勸められる塩ラーメンは今迄「麺哲」「きんせい」の二軒だけだつたのが、この「がんこ」でやつと三軒に増えたのだから。

月 旧一的評價;☆☆☆+0.5。