京都燒肉勝負!!「おおた」V.S.「なり田屋」 by 月 旧一

私が京都に來てから一番良く行つてゐる燒肉屋が「なり田屋」である。いつもおんなぢとこばつかし行つてるのもどうか、といふのでたまに余所の店にも行つてみるのだが、やはり「次は『なり田屋』に行かうね」となつてしまつてゐる。果たして、老舗「おおた」は「なり田屋」ループを打破出來るのか?!檢証してみた。
突き出し:「おおた」≪「なり田屋」
「おおた」がキヤベツだけなのに對し、「なり田屋」はチヨレギサラダと水キムチ。此の水キムチの出來が素晴らしく、体調惡くて食慾無い時に此だけでもお持ち歸りしたい位だ。「なり田屋」壓勝。
キムチ:「おおた」≪「なり田屋」
突き出しに續き、また「なり田屋」の壓勝。比較にならない程の出來の差。
肉刺し(ミスジ):「おおた」≧「なり田屋」
「おおた」で食したミスジは、「なり田屋」で食べたミスジの一番美味い時とほぼ互角。一應、たつた一度で最高値を叩き出した「おおた」の方を買つておく。
ユツケ:「おおた」<「なり田屋」
肉質自体はさほど相違なき樣に思はるるが、ヨード卵の如きオレンヂ色に近い色で、またコクのある卵黄使用の「なり田屋」に軍配。「おおた」はとろろがついて來るのも減点對象。タレの味は好みだらうが「おおた」の方がやや化調味が強い。
上塩タン:「おおた」<「なり田屋」
「おおた」の上塩タンがマズい譯ではない。しかし、「なり田屋」の超薄切の極上塩タンの食感と比較すると勝負は一目瞭然。
上ロース:「おおた」≒「なり田屋」
肉質はほぼ互角。此の邊りになると甲乙つけ難い・・・といふよりも、二軒の差ではなく仕入れ時の肉質の善し惡しによる違ひの方が大きいのでわ?
上バラ:「おおた」≒「なり田屋」
こちらも甲乙つけ難し。

結論として肉質に於てはほぼ互角の二軒であるが、サイドメニウのキムチやユツケの出來に大きな差があるので私は「なり田屋」の方に軍配を上げる。あと、「おおた」では飯モノを頼んでゐないので勝負には擧げなかつたが、「なり田屋」では必づ注文するガーリツクライスがあり、此の素晴らしさも評價に加へるとすると勝敗は一層明確になる。
・・・以上はあくまで味のみでの比較評價である。此処で再度明言しておくが、私が食べ物屋を評價する際、コストパフオーマンスに關しては一切、無視してゐる。その理由の一つは、先づ私が求めてゐるのは絶對的に美味いモノであり、コストパフオーマンスを導入するとその味に對する純粹性が歪められてしまふからだ。まう一つ、値段の高い安いの感ぢ方は個人差が大きく、ただでさへ個人差の大きい「味」を比較してゐる上に値段のベクトルを加へてしまふと記亊を讀む人が混亂してしまふ可能性もあるからである。
しかし私とて自分自身のコストパフオーマンスに對する物差しはある。此の二軒の値段を比較すると、
値段 おおた1,7500圓(初訪時)、なり田屋2,0000圓(平均)。
食べてゐる最中、私なりのコストパフオーマンスの計算で、「おおた」が15000圓以下なればまた來てもいいかな、と思つてゐたのだが、價格の差が全体の1割程度でサイドメニウの味にこれだけ差が出ては、その差額を払つても私は「なり田屋」を選ぶ。勿論、肉質にさう差異は無いのであるからキムチやユツケ、ガーリツクライスを無視出來る方なれば少しでも安い「おおた」を選ぶといふ選擇枝もある。