麺や「向日葵」@京都市左京區 塩ラーメン 2008.10.14/12.07實食

2006年8月、以前「龍馬」があつた場所にオープンしたお店。
同年11月の初訪時の印象は、「よくまとまつた優等生的味なのは評價出來るが、それ以上のものではない」であつた。
しかし2007年、2008年と徐々に評價が上がつて來た。その間チヤーシウの味附け以外の何が大きく變わつた、といふのではない。けれども訪れる度に細部がブラツシユアツプされて來てゐる樣に感ぢらるるのだ。

塩ラーメン650圓

メニウの能書きでは 「鶏がら、豚骨、魚介のトリプルスープ」 となつてゐる。
その言葉通り夲當に鶏がら、豚骨、魚介のダシを 別々に取り、提供する際にブレンドしてゐる のなれば、そのネーミングに對して異を唱へる筋合ひは無いのだが、嘗て「一(KAZU)」の時にも書いた*1通り、ダブルでもトリプルでもクワルテツトでもクウインテツトでも、内容が伴つてゐないものに輕々しく使つてしまふと却つて淺薄さが際立つので關係各位は十分御注意願いたいものである。

さて實食。
トリプルスープと豪語してはゐても、ダブルスープの店と並べてどちらがダブルでどちらがトリプルか、と訊かれてもわかる人間はまづゐないだらう。しかしスープ全體としての味のまとまりはなかなか良く、イムパクトこそ無いが旨味は必要にして十分。初訪時には物足りなくはないもののまう少し旨味があつてもいいかな、と感ぢたのだが、それ以降の訪問で不滿を感ぢたことは一度も無い。
加へて「向日葵」のスープで何より評價出來るのは、 塩のカドが立ち過ぎてゐない ことである。
下手な店が作つた塩ラーメンではタレの熟成が全く出來てをらづ、スープを口にした際に食塩を舐めた樣なカドが立つものにしばしば遭遇する。しかし、「向日葵」では特別に高級素材を謳つてこそゐないものの、バランス良くまとまつてゐるダシを塩のカドを立てづ、ちやんと味わわせる方程式がきちんと確立してゐるのが良い。

細い直麪は、麪そのものが取り立てて美味いといふ譯ではないが、 馬鹿のひとつ覺へ みたいに 麪かため と呪文を唱へなくともシヤツキリとした茹で上がりでコシがあり、加へて喉越しも良く、何よりスープとよく合つてゐるのが最大の美点である。「風花」の現在のスープと細麪の組合はせは試してゐないが、今囘掲載した4店の中では麪とスープの相性が一番良い。

卷きバラチヤーシウは、初訪時のみ少々しよつぱくて醤油臭さが鼻についたのが氣になつたが、2囘目以降は劇的に改善されてをり、くど過ぎづ薄過ぎづ、少し甘みもついて丁度良い塩梅の味付けになつてゐる。
他のトツピングは白葱、水菜、揚げ葱に今年からは海苔が加わつた。特に揚げ葱がナイスセレクシヨンで、ラーメンのキヤラによく合つてゐるし、またスープの味を引き立てこそすれど邪魔はしてゐない。

ガツン!と來るイムパクトは皆無なれど、兎に角バランスが (・∀・)イイ!! 今囘取上げた4店の中では隨一のバランスの良さを誇つてゐる。


月 旧一的評價;★★★★ −α。


記亊を書き上げる前までは ★★★★ をつけるつもりであつた。しかし「−α」としてしまつたのは、次に準備してゐる記亊で ★★★★ をつける豫定の2店と比較した上でのイムパクトの無さ故である。
だからと言つて私は「向日葵」にイムパクトのある味を求めるつもりはない。下手にイムパクトのある味を目指して現在の絶妙のバランスが崩れると、「角を矯めて牛を殺す」結果となりかねないからだ。


追記
2007年3月「龍馬」が元田中で復活する、といふ話になつた際、「向日葵」は知名度、價格、量のいづれでも敵ひはしないだらう、とその行く末が心配されたものだ。しかし、その「龍馬」があつさりと撤退してしまつた現在、此の近邊では唯一口にする價値のある塩ラーメンとなつた。
但し、唯一の難点は 店内禁煙ではない こと。
「龍馬」からの流れでユルい店内空間を演出する狙ひなれば仕方無いのかも知れないが、「向日葵」の如き淡い味のスープの店で煙草を喫われると、味も何もあつたもんぢやあない。
禁煙藥を製造してゐるフアイザーの調査、といふことでバイヤスがかかつてゐるかも知れないが、 飮食店で他の客のタバコの煙によつて

喫煙者400人に至っても、その46.5%(186人)が「不快な思いをしたことがある」と回答している

http://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_12_02.html

といふ調査結果があることも覺へておいて頂ければ幸ひである。

*2 *3 *4 *5 *6 *7 *8 *9 *10