「無鉄砲」夲店@木津 限定塩(旧/新ヴアージヨン) 2004.02.19實食

道中、愛車がタイミングベルト切れの憂き目に遭つたり、風邪で味覺が鈍痲した爲パスしたり・・・で延び延びになつてましたがやうやく試せたサンマ節の「塩」。
Dr.Yが「最初は美味いと思ふんだけど、途中から塩つ辛くなつてくる」と言つてたのんを檢証すべく、新旧兩ヴアージヨンを試しますた。


限定塩「旧ヴアージヨン」

澄んだスープからはサンマ節の良い香りが立ちのぼり、ひと口目のインパクトは高い。
しかし、食べ進むうちに、確かに塩つ辛くなつてくるのがわかる。私がよく言ふ「ダシ」を喰はせるのではなくて「塩」を喰はせるタイプになつてしまつてゐるのだ。
決してサンマ節のダシが取れてゐない譯ではない。しかし、強弱ではなくダシの質の問題なのだらう、「線が細い」樣に感ぢられてしまふ。
塩つ辛さが強調さるるのもその「線の細さ」故。舌を包み込む樣なタイプのグルタミン酸系の「旨味」「甘味」が足りないが故に、塩の味が前面に出過ぎてゐるのではないだらうか。


限定塩「新ヴアージヨン」

店主もそこのところがわかつてゐるのだらう。新ヴアージヨンでは8:2で豚骨を混ぜ、マイルド感を演出してゐる。
確かにとんこつダシと脂により、いくばくかの甘さ、まろやかさは出てをり、直接舌にくる塩つ辛さは抑へられてゐる。しかし、それは單に旧ヴアージヨンの欠点をただマスキングしただけにすぎづ、ベストな選擇とは思へない。そして何より、最大の問題点であるグルタミン酸不足が解決されてゐないのだ。

尻極二杯食したのだが、舌に味が全く殘つてゐないことに氣附いた。「後味スツキリ」と言へば聞こへがいいのかも知れないが、食後の滿足感としてはかなり物足りない。嘗て一条氏の「がんこ総本家」で「塩4.5」を食した時は、昼に東京で食して、それから新幹線で神戸に戻るまで、ずつとダシの後味がたなびいてゐたものだ。

旧ヴアージヨンも新ヴアージヨンも、「無鉄砲」以外の店で食したのなれば、それなりの評價を与へてゐたのかも知れない。しかし、あのレヴヱルのとんこつと醤油を作る店のラーメンとしては、殘念ながら期待外れと言はざるを得ない。


月 旧一的評價;★★★★★


・・・さて、どうすればマン足イく味が出るのだらう?

1. 昆布を使ふ
此のmethodは南青山時代の「麪屋武蔵」でもやつていた。
當時、試した印象では海藻臭さがどうしても目立つてしまひ、「努力してゐるのはわかるが今ひとつ實を結んでゐない」樣に感ぢられた。しかもこれは醤油ラーメンでのことなので、醤油のグルタミン酸に頼れない塩ラーメンだともつと顕著になつてしまふかも知れない。

2. 野菜を使ふ
○りお流の「塩」でもわかる通り(うぷつ、あの味想像してもうた (-。-;;) 、野菜ダシはひとつ間違へるとごつた煮風の味になつてしまひ、氣持ち惡い甘つたるさが出てくるので注意が必要だ。
ただ、適量の野菜を他の材料とともにきつちり煮込み、スープを濁らせづに綺麗なダシが取れたらコンソメスープの樣な、キレがよく、しかも旨味十分、といふダシになるのだが・・・

3. コナを使ふ
これが現實的な選擇なのかも知れなひ。一度旧ヴアージヨンコナ入りを試してみたひ。

しかし、夲日、私なりに出した結論は

塩ラーメンに一番合ふダシは鷄である

といふことだ。
ただ、鷄ダシは匂ひも強くなつてしまふんで、サンマ節と合はせると、その淡ひ香りが消されはしないか、そこのところが問題だらう。


シリーズ「夏休みの日記」-その2-